愛しの魔王サマ


そして、俺はこれまであったことを一通り聞いた。
俺が、消滅の儀をしようとし、失敗に終わったことで初代魔王の魂に乗っ取られたのだと言う。

どうにか取り戻そうとしたが、方法がついに戻らないまま魔王の力が覚醒してしまった。
だから、最後の俺の意志を組んで封印ではなく消滅刺せようとしたのだと言う。


そして、無事それを成し遂げた、その後が今だと言われた。



消滅の儀・・・。




「マオさま・・・。マオさまは、本当に消滅するおつもりだったんですか?」

「・・・そうだな。行動に起こしたことは覚えていないが、封印ではなく消滅を選ぶつもりだった。化け物に身体を奪われる前に・・・」




そう、自分で選んだ道だった。
こいつらは、その俺の道を尊重しようとしてくれていたのだな。

こんなに泣き腫らしたような目で。
ポロポロと涙をあふれさせながら。



「なぜ・・・、なぜ話してくださらなかったのですか・・・。発作が頻繁に起こっていたことも・・・、そうして悩んでいたことも・・・」




アドルフが、辛そうに訴えた。




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