愛しの魔王サマ
「あいつなら、俺を良く思っていなかったし。多少引きずったとしても、問題はないと思ったのだ」
「そう・・・ですか・・・」
「だが・・・、そうか。時間がなかったのだろうな。それとも、お前に終わらせてほしかったのかもしれないな・・・」
エマの手で終わらせられるのならと、その時の俺は思ったのだろうか。
そして今回も、その俺の想いをエマたちがくんでくれたのか。
記憶が曖昧で、覚えていないが。
「でも・・・、どうして・・・」
「結果的に、よかったですが我々は、消滅の儀を行ったはずなのです。なにが違っていたのでしょう」
消滅の儀をしても、魔王は消えなかった。
それだけではなく、消えたはずの俺の魂が呼び戻された。
ああ、そうか・・・。
覚えている。
あの時読んだあの本に書いてあった。
関係ないものだと、とりあうことはしなかったものだ。
だって、そんな風に思ってくれるものなど、いないと想っていたのだ。