愛しの魔王サマ
「今度、見に行きましょーね。俺の愛とよく似た広く深い海を」
「・・・お前は、本当にバカだな」
シュンと肩を落とすルカを横目に、徒歩で目的地に向かう。
今日の視察は比較的近場だ。
城より北に少しいったところにある山の奥。
そこにいる魔物に会いに行く。
「あれ。もしかしてあの子が人間の?」
「・・・ああ。エマだ」
「へぇー」
俺たちの少し後ろを歩いてついてくるエマを見つけ、興味深そうにルカが見つめる。
「初めまして。エマです」
「初めまして―。ルカでいいよ」
「ルカさま」
「ルカでいいのに」
誰に対してもフランクなルカは上機嫌でエマに迫っていく。
「本当に人間なんだ」
「はい」
「ふぅん。可愛いね」