愛しの魔王サマ
「私、メイドとして側にいられるだけで十分だと思って戻って来たのです」
「なんだ?思いあう二人は、恋人というのであろう?」
「こ、恋人・・・っ!」
「なんだ、嫌なのか?」
「そんな、光栄です!ですが・・・、私のようなものがよろしいのですか?」
伺うような目。
なにを心配することがあるのだ。
俺はエマを好きで、エマもそうならそれでいいではないか。
なにも遠慮することはない。
「エマは俺といたいのだろう?俺も同じだ。それに、メイドとしてなど寂しいことを言うな。メイドと主人では抱きしめることが出来んだろうが」
「えっ、あっ、・・・はい・・・」
顔を真っ赤に染めるエマが愛おしい。
本当に、いろんな顔をするようになった。
エマの肩を抱きそっと抱き寄せる。
エマは体を固くさせながらも身を委ねてくれる。
「お前は、俺のものだ」
「・・・はい、マオさま」
大切なものが増え。
愛するものができ。
両手いっぱいに増えるものたち。
俺はすべてを守り通せるだろうか。