愛しの魔王サマ
「なにか、思い出したか?」
「・・・?」
「トロル殿!」
焦ったようにアドルフが叫ぶ。
・・・何をそんなに焦っているのだ。
「思い出すとはなんだ?」
「お前は、なぜ封印されていた」
「おやめください、トロル殿!」
「・・・アドルフ、黙っていろ」
アドルフを制止し、トロルを見上げる。
「そんな事、知らずとも俺が魔王でこの世界の王であることに変わりはない」
「そうかのぉ?」
「なに?」
なにかを知っているかのような口調。
ギリッと拳を握りしめた。
「マオは、どうすれば魔王になれると思う」
「・・・どうすれば、だと」