愛しの魔王サマ
「マオさま!」
「マオ・・・誰だ・・・お前は・・・俺は・・・」
ズクン、ズクン、と響く痛み。
頭を抱え蹲る。
「マオさま!あなたは、マオさまです!この魔界を統べる、魔王さまです!私はアドルフ、あなたの側近、あなたのために在ります!」
「・・・っ、アド・・・ルフ・・・」
「はい!マオさま・・・。あなたは、マオさまです」
その手に抱きしめられ、宥められ。
次第に頭痛が引いてくる。
それと同時に遠のいていく意識。
まどろみの中に身をゆだねれば、身体の力は次第に抜けて行った。
「マオさま・・・お忘れください。・・・その痛みも、お気持ちも・・・今一度」
意識が遠のく片隅で、そんな声を聴いた気がした。