愛しの魔王サマ
「おはようございます、魔王さま」
抑揚のない声が聞こえる。
なんだ・・・?
「魔王さま。朝です」
「・・・ん?」
眉を顰めうっすらと瞳をあける。
見えてきた顔に瞬きを数回すると意識も視界もはっきりしてきた。
「エマか・・・」
ゆっくりと体を起こす。
俺、いつの間に眠っていたんだ?
服はしっかり寝間着に変わっていて寝ていたのも自分のベッドの上。
「俺は、いつ眠ったのだ?」
「・・・?アドルフさまからは、お疲れのままお風呂にも入らず眠ってしまわれたと」
「そうか・・・」
記憶が、あいまいだ。
額に手を当て思い返そうとするが、なにも思い出すことはできなかった。