愛しの魔王サマ
「・・・お前は、どう思う」
「わかりません。ですが、アドルフさまも、ルカさまも、あなたの事を魔王さまとして接しています。それが、当たり前のように思えます」
「当たり前か・・・」
「魔王さまが、どうありたいかではないのでしょうか」
「どうありたい・・・?」
「魔王という責任を、どう考えるのか。魔王として、どう生きるのか。肩書よりも、大事な事のように思います」
魔王として、どう生きるのか。
自分が、どうありたいか。
「す、すみません。出過ぎたことを!」
「いや。・・・エマ。ありがとう」
「え・・・・・・」
憑き物が落ちたような、清々しい気持ちでエマに向かい合う。
エマは驚いたように目を丸くさせた。
それが、初めてエマの表情が変わった瞬間だったことに、俺は気づかなかった。
それ程、自分の中がスッキリと晴れ渡るような感覚になっていた。