愛しの魔王サマ
「・・・う・・・?」
次に目が覚めたのは、見慣れた天井。
いつも朝見上げるその天井。
俺の部屋か・・・。
ぼんやりする頭で考えた。
「魔王さま・・・っ!」
覗きこんだ顔。
それは、すっかり見慣れてしまったエマだった。
表情はないものの、その瞳からは心配の色が見て取れた。
「・・・倒れたのか」
「はい。とても、高い熱が出ております」
「そうか・・・どおりで」
吐き出すようにそう言って腕で目を覆った。
しんと静まり返った室内に、その腕を外し覗き見る。
「どうした」
「・・・申し訳ございません」
「・・・?なにがだ」
「魔王さまの体調に気づけず・・・お倒れになった時も、私はきちんと支えることができませんでした・・・。そのせいで魔王さまにお怪我を」
「怪我・・・?」
なんのことだ、と両手を布団から取り出すと左腕に包帯が巻かれていた。
ああ、これの事か。
倒れた時に擦りむきでもしたのか。