愛しの魔王サマ
「主にケガを負わせるなど、言語道断。どのような処分でもお受けいたします」
エマという女は、いったい何を抱えているのだ。
仕事に熱心というだけではないような気がする。
過去に、なにかがあったのか。
でも、それを語ろうとはしなかった。
まぁ、無理に聞き出すものでもなかろう。
「これは俺が倒れたから負ったケガであって、風邪も俺の管理不足だ。よって、これは俺の自己責任だな・・・。お前は、俺に処分を下すか?」
「そ、そんな・・・!ご主人様に処分など!処分なら、私が受けるべきです!」
「俺が、俺の責任だと言って・・・げほっごほっ・・・」
「魔王さま・・・」
「エマ。魔王さまはご病気なのだ。看病をするのが、今お前のすべきことですよ」
大きく咳き込んだ俺に、いつからそこにいたのかアドルフが駆け寄り身体を支え背中をさする。
咳き込みが終わった後、すぐに差し出された水を支えられながら流し込んだ。
悔しいが、アドルフは今までずっと俺についていただけあり、なにをしてほしいかを言わずとも酌んでくれる。
そっと再びベッドに横たえられ布団をかけられた俺は、再びうとうとと眠りに落ちて行った。