愛しの魔王サマ


俺は、エマの腕を掴み思い切り引き寄せるとその肩口に顔をうずめ抱きしめた。




「魔王さま・・・っ」




少しだけ、動揺したような声を上げる。
突き飛ばしたりはしないのか。
そのことに少しだけホッとした俺は、ギュッと抱きしめる腕に力を込めた。




「俺を、一人にするな・・・」




絞り出すように告げた言葉。
その声は、風邪のせいかそれとも別の理由か、カラカラに掠れて、それが届いたのかもわからない。


でも、エマは返事をするかのように俺の背中に手を回し、ぎこちなく抱きしめ返してくれたのだ。





「・・・エマ」




縋るように、名前を呼ぶ。
エマは黙ったまま、大人しく俺に抱きしめられていた。




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