愛しの魔王サマ
「おはようございます、マオさま」
「ああ」
「ご加減はいかがでしょう」
「もう問題ない。すまなかった」
「いえ。よくなられたのでしたら安心いたしました」
恭しく頭を下げる。
本当に、このアドルフという男はわざとらしい。
どこまでが本心なのか、疑わしいやつだ。
「その割に、昨日は一度も姿を見なかったが?」
「そうでしょうか?私が伺った時はマオさまお眠りになっておりましたから」
「どうだろうな」
鼻で笑い椅子に座ると、エマの代わりに食事を運んでくる。
「エマはどうしました?」
「ああ、あれはよく眠っている様だったからおいてきた」
「眠っている?迎えに来なかったので?」