愛しの魔王サマ
「・・・いや。俺の部屋にいる」
「マオさまの部屋に・・・?それは、なぜ・・・」
驚いたような声色で、アドルフもそれは知らなかった様子。
それはつまり、俺の事を様子を見に来たというのもほとんど嘘ではないか。
「知らん。・・・というか、覚えておらん。いや・・・たぶん、俺が何かしたのだ・・・というのは」
「まぁ、破廉恥な」
「阿呆!そんなんではないわ!」
くそ。
アドルフに言うべきじゃなかった。
「昨日は、ずっと看病してくれていたようだからな。疲れているんだろう。そっとしておいてやれ」
「かしこまりました。・・・マオさまは、本当にお優しいのですね」
「はぁ?俺が優しいだと?馬鹿を言うな!魔王たるもの、部下の体調管理までできずしてどうするのだ!」
そうだ。
これは、俺が魔王だからこそ。
当然の事なのだ。
「いえ・・・マオさまは、お優しいですよ」
アドルフは、含んだように笑う。
・・・なんなのだ、いったい。