愛しの魔王サマ


「マオさまが水浸しのまま廊下を走り回ったせいで、どれ程の召使いたちが後始末に追われたかお分かりですか?」

「・・・わ、わかっている」



風呂騒動を終え、寝室に戻って来た俺のもとにやってきたのはアドルフ。
正論をぶつぶつと呟かれる。




「マオさまはもう少し周りをよく見てください」

「なっ」

「マオさまのような方を、猪突猛進というのですよ」

「お前はどうしていちいち突っかかるようなことを言うのだ」

「本当の事を申し上げたまでです」





アドルフはベッドの布団をそっとはぐ。
そこにのそのそと入っていき横になると、布団をかけてくれる。




「明日は、誕生パーティです。7時にはお迎えにあがります」

「ん。・・・おやすみ」

「おやすみなさいませ、マオさま」

「・・・魔王だ」

「マオさま」




この、強情者め。





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