愛しの魔王サマ
エマの瞳から、雫が一粒零れ落ちた。
「あ・・・あれ・・・」
一番戸惑ったように呟いたのは本人。
俺はギョッとして目を丸くした。
「な、なぜ泣く!」
「わ、わかりません・・・っ、勝手に・・・」
「お、俺のせいなのか!?俺が、なにかいけないことを言ったか!?」
「違います!ちがっ・・・!」
慌てれば慌てるほど、涙は零れるようでエマは混乱し慌てふためく。
女を泣かせるなんて、初めてだ。
こういう時、どうしたらいいのだ・・・。
「な、泣くな!」
ええい。
エマの身体を引き寄せ、自分の腕の中に収める。
背中をトントンとたたいて落ち着かせる。
こ、これでいいのか。
アドルフが時々俺を落ち着かせるときに背中を叩いてくれることがあるが。
確かに、それで俺は落ち着くことができる。
エマにも、効果はあるか?
「ま、魔王さま・・・」
「なんだ・・・」
「あ、あの、あの・・・」
はっきりしないエマに怪訝に思い身体を放し顔を覗き込む。