愛しの魔王サマ


誕生パーティ。
俺の封印がとかれた日から今日で3年がたった。

少年ほどの身丈だった俺だが、背も伸び体つきも十分に成熟しているはずだ。

それなのに・・・。
身長も体格も、アドルフに遠く及ばないのはなぜだろう。

華奢なこの身体と、一定から伸びなくなった身長。



魔力がまだ戻りきっていないという事なのだろうか。




「まおーさまっ!」




とびかかる勢いで突撃してきた銀髪の男。
頭の上には獣耳。
尻には髪と同じ色の尻尾。



「ルカ!お前はいい加減に落ち着け!」

「だって!俺、まおーさまの事、大好きなんですもん!」




すりすりと頬ずりをしてくるライカンスロープ(狼男)であるルカ。
俺の部下だ。

このバカ高いテンションと、俺への異常すぎるほどの忠誠心を置いておけば、強く頼りになる部下である。




「あー、今日はまおーさまの誕生日!俺のすべてをまおーさまに捧げたい」

「気色の悪いことを言うな」

「だって、記念すべき日なんですよ!」




記念すべき日・・・か。
俺にはよくわからんな。




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