愛しの魔王サマ
「ほら、満月を見たら変身するとか、あるでしょ?」
「・・・聞いたことあります」
「満月じゃなくても、変身ができるのが普通なんだけどね。俺、できないんだ」
切なげな表情を浮かべルカさまは話し続ける。
「人間の姿にも、狼の姿にも。・・・この中途半端な姿から変えられない。だから、仲間からは馬鹿にされてずっと一人だった」
「・・・」
「そんな時、まおーさまが俺の事拾ってくれたんだ」
思い返すように空を見上げたルカさまの口元には弧が描かれている。
「その日から、俺はまおーさまのために生きるって決めたんだ!」
「そうなんですね」
「まおーさまは、こんな俺の居場所をくれた。俺は、まおーさまのために、この命をかけるって決めたんだ」