愛しの魔王サマ
「魔王さまは、どうしてあのようなことを」
エマの方から職務以外の事を話しかけてくることはあまりない。
そのことに驚きながらも俺は顔をあげた。
「あのとは」
「・・・無用な殺生をするなと」
「ああ・・・」
そのことか・・・。
そうだな。
エマに、エマ自身の事を聞こうとしておいて自分は話さないのは不公平でもあるし。
エマになら、話してもいいだろう。
無闇に他言することもないであろうしな。
「昔話をしようか」
「・・・え」
不思議そうな視線が俺を見る。