愛しの魔王サマ
「そ、それに俺は暗闇が怖いわけでは・・・」
「そうですか、すみません。今よくおしゃべりになっているのも、もしやするとそれを和らげるためかとふと過ぎったもので」
・・・・・・見抜かれている。
身の上話をしたのは、エマの過去も少し気になったうえでのことだった。
だが、それを今したのは・・・。
確かに、話していれば気分がまぎれると思ったからだった。
「・・・なにも覚えていないと言ったが、少し覚えていることがあるのだ」
「覚えていることですか」
「封印が覚める前の事だ。暗く、なにもない場所で一人でいた。それはそれは途方に暮れるほどの間だ。暗闇は、その時の事を思い出すから嫌いなんだ・・・悪いか」
「いえ。教えてくださりありがとうございます」
なんだ、少し過去をしゃべったかと思えば、言うようになったな。
それは心を開いたという事なのか?
それは喜ばしいことなんだろうが、少しばかり厄介だな。