愛しの魔王サマ
トントン
ノックの音が聞こえ、鉄の扉がゆっくりと開かれた。
外からの灯りで眩しく、目を細める。
「マオさま。もう出ていらして大丈夫です」
「すんだのか?どうだった」
「とりあえず、執務室の方へ」
「ああ・・・」
エマとの時間もこれで終いか。
そう思うと少し、胸の奥が変な感じだ。
この感じは、いったいなんなのだろう。
今までに知らない感情だ。
アドルフに聞けば、わかるだろうか。
「エマ。よくマオさまをお守りしました」
「私は、なにもしていません・・・」
「あそこはマオさまのお嫌いな場所なのですよ。ですが、あまり機嫌を損ねていない様子です。あなたのおかげでしょう」
・・・聞こえているぞ。
いや、絶対に聞こえるように言っているのだ。
だからあえて俺はツッコまない。
くそ。
面白がりおって。