愛しの魔王サマ
「若い男がその場を仕切っている様子でした」
「若い男・・・」
「そうですね、エマよりも少し下か、もしくは同じくらいの歳でしょうか」
若い男と言われても、人間を良く知らない俺にはどれほどのものかよくわからなかった。
アドルフはそれに気づきわかりやすく説明を付け加えた。
「要求でもあったか」
「要求というよりは・・・、」
「なんだ、構わないから言ってみろ」
「悪は粛清する。魔王は滅ぶべきだ、と」
ピクッと、反応してしまう身体。
俺は、冷静を装いアドルフを見た。
「それで、どうしたのだ」
「なるべく穏便に、おかえりいただきました」
「穏便、な」
「多少、負傷者が出るのは致し方ないかと」
向こうも本気できているのだ、それはやむを得ないのだろう。
アドルフがそう判断し、行動した結果がそれなのだだから、そういう事なのだ。