愛しの魔王サマ



「なぁ、あれは、なにをしているんだ」
「あれですか・・・?あれは、泣いていますね」
「泣く・・・?」
「マオさまがお戻りになり嬉しいのですよ」
「嬉しいと、目から水が出るのか?」




**********




「ひどく、暴れられましたね」
「わからん。無性に胸がむしゃくしゃしたのだ」
「怒ってらっしゃるんですか?」
「怒る・・・。これが、怒るという感情か」




**********




「まおーさまっ!遊びましょーよ」
「ルカ、お前はいつもいつも、煩いな」
「なんでー、楽しいでしょ?」
「楽しい?」
「ルカは、いつも楽しそうですね」
「アドルフ、楽しいというのは」
「ルカが笑っているでしょう。楽しいと感じた時嬉しいと感じた時、そういった時に笑うのです」






「マオさま?なにをお考えですか?」


アドルフの声に、ハッと現実に帰る。
昔の事を思い返していた。




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