愛しの魔王サマ
立つことも、話すこともできた俺だったが。
目を覚ました時、俺の中はなにもなかった。
それを、アドルフが一つ一つ感情を教え、物事を教えてきたのだ。
「俺は、アドルフがいなければ、ここまで生きては来れんかったのだな、と思っただけだ」
「そのようなお言葉。もったいないですね」
「思っておらんくせに。どうせ、その通りだと思っているのだろう」
「いえ。そのようなことは」
アドルフが笑う。
「アドルフ、お前は、前回の俺がどのように封印されたかなども知っているのか?」
「・・・はい。知っております」
「俺は、なぜ封印された?やはり、俺が悪だからか」
「マオさまは、なぜ、善か悪かを気にされるのでしょう」
なぜ。
そう問われても、どう答えていいかわからん。