愛しの魔王サマ
「申し訳ございません。ルカは私の言う事を聞くような部下ではございませんので」
肩を落としそう言ってのけるアドルフ。
どの口が言っているのだ。
きかせようとも思っていないくせに。
「人間たちの事だが、わかっていることを教えろ」
いつまでも構っていては話が進まない。
話を切り替えアドルフに話を切り出した。
「調べはあまり進んではいないのですが、やはり先導していたのは若い男のようです」
「そうか」
「他の魔物が聞いていたのですが、その者がなにやら叫んでいたのは、他の人間とは少し違った事のようでしたね」
「違うとは」
エマが俺の前に紅茶を差し出す。
黙って差し出し、頭を下げると後ろに下がった。