愛しの魔王サマ


「やはり、お前はその方がよいな」

「え・・・?」

「そんな風に、感情を表している方がいいと言ってるのだ」



そう言ってエマの頭に手を伸ばすと数回撫でくりまわした。
エマは驚いたように目を丸くさせ、微かに頬を染めた。




「魔王でなくともいい、そんな事を言ったのは、エマ、お前が初めてだ」

「も、申し訳ありません・・・。出過ぎたことを」

「いや、・・・少し荷が軽くなった」





魔王であろうとし、そうであると信じてきた。
だが、確証も持てず言われるがまま魔王としての任を遂行し。


本当にこれでいいのかと、自問自答を繰り返す日々。



でも、エマに言われ、少し心の荷が下りた気がした。





「魔王でなくとも、そうだな。俺は、俺だ」




確かめるように、繰り返す。
今、ここにいる俺こそが・・・。





ドクン





「―――――っ、」




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