愛しの魔王サマ
②弟
目を覚ますと、ベッドの上だった。
俺を心配そうに見つめているエマと目が合う。
「マオさま」
「・・・エマか」
ゆっくりと数回瞬きをし、自分の置かれた状況を思い出す。
なぜか、記憶がぼんやりとしていて思い出せない。
「俺は・・・、どうしたのだ」
「・・・それは、あの・・・」
エマは、躊躇い言いよどむ。
そんなエマを見つめると、服の下に白い包帯のようなものを見つけた。
「お前、それはどうしたのだ」
「え・・・」
エマの視線が自分の首元に映ると、一層困惑の色が強くなる。
「なんでも、ありません」
「・・・なんでもないことないだろう。なにを隠してる」
「隠してなど・・・」
ギュッと服を手繰り寄せその包帯を隠すようにする。
なにかを、隠していることは確かだった。