竜門くんと数学のお時間
となると、残された答えは1つ。
突撃、である。
「………行きますか」
さっきから消去法で案を消していくヘタレなところが見えていたが、ようやく覚悟を決めた私。
そろそろと特別教室Eの前まで歩いて扉にある四角い窓から中を覗いてみる。
「……あれれ?」
おかしい。
誰もいないよ!?
あわあわとしながら、とりあえず授業中に廊下でうるさくしてはならないので、特別教室Eに入り込んだ。
「失礼しまーす……」
用がなくなってしまった私は、誰もいないすっからかんの教室に途方にくれた。
「なんで竜門くんいないのー……」
むう、と唇を尖らせた私は彼がいつも座る席に座ってみた。
ちょっとドキドキとしながら、その机に伏せてみたり、竜門くんが授業を受けるのを真似してみたり。
きゃーっ、と1人で興奮していると、カタンと鳴った音が教室内に響いた。
驚いて恐る恐る音の方に目を向けると、扉のところにいた時には見えなかったものが見えてきて、私は目を見開いた。
教壇にもたれかかり眠る竜門くんを見つけたのだ!
なるほどなるほど、道理で見つけられなかったわけだ。