竜門くんと数学のお時間




ところで、見つけたところまではいいのだがこれからどうすべきなのだろうか…。


芹ちゃんに言われるがまま出てきてしまったばっかりに、何をしたくて来たのか目的を立てていなかった。


うーん、どうしようかな。


………とりあえず、竜門くんの寝顔が気になる…。


………盗み見てもいいかな…?



誰かにそう質問したところで答える人は私以外にいない。


ということは、盗み見ようとする方向へ自然といくことがわかってもらえるだろう。


そろそろと音を立てないように竜門くんの席から立ち上がり、彼に近づいていく。


お願い、どうか起きないで。



ゆっくりゆっくり、彼との距離を詰めていく私。



「っ、わ」



とうとう目の前まできて、私は小さく息をのんだ。


伏せられた長い睫毛、きめ細かな肌。


下から見るアングルと上から見るアングルじゃ、印象が全く違っていて驚いた。


いつも見上げる彼の顔は、キリッとしていて格好良い。

それに対して、今はなんだかお人形さん、みたいな……。


なんか、なんだろ、かわいい。


緩む頬を押さえて、私は彼と同じ高さになるよう彼の前にしゃがみこんだ。




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