竜門くんと数学のお時間
「みんなークラスと座席の確認してー」
ガラガラと教室の扉を開けた先生が、教室の壁に座席表を貼り付けた。
その途端にすごい勢いでみんな座席表を見に行く。
「花、心の準備おっけー?」
「………うん」
「じゃ、見に行こう」
「うん!」
座席表の前で落胆する人やわかっていたように頷く人、嬉しそうにする人をかき分けて、私と芹ちゃんもやっと紙の前まで来た。
「えーと、吉野花は……」
自分の名前を言いながら視線を動かす。
とりあえずは、下のクラスから見ていく。
スラスラと目で字を追う中、自分の名前がないことに気付く。
あれ、これってもしかして。
「花っ!」
隣から芹ちゃんが抱きついてきた。
え、あれ、これってやっぱり……?
上のクラスの座席表に視線を移す。
………わぁっ!私の名前っ!
「吉野、花……」
「えっ」
自分の名前を見つけて舞い上がりそうになった時、後ろから名前を呼ばれて私は振り返った。
そこにいた人物を見て飛び上がり驚く私を指差して、芹ちゃんがその人に話しかけた。
「吉野花はこの子だよ」
「へぇ、お前が」