竜門くんと数学のお時間
「てかみんな今の一連の話聞いてたの!?」
「あんな大声で話してて、聞こえてない方が怖いって」
あー……みんな聞いてたんだ。
思いの丈を叫びまくっていた自分を思い出して、一気に恥ずかしくなる。
少し俯いた私の顎を、竜門くんが掬った。
「ちょっ……?」
竜門くんは、自分の机に腰をかけて私から手を離した。
「で?」
「え?」
「え、じゃねーよ。お前はどう思ってんの? ………俺のこと」
あ、私、自分の思い彼に伝えてないんだっけ。
竜門くんは相変わらず、恥ずかしがっている様子だ。
それなのにその姿は、少し余裕があるように見える。
ずるいなぁ、わかっているのかな。
私の思いはバレバレだったのかな。
それでも、いい。
今こうして、口にして彼に直接伝えることが出来れば。
「竜門くん」
膝の上にある彼の手を自分ので包む。
女の子みたいに足をぴったり揃えた座り方をしている竜門くん。
前言撤回。
余裕なんて全くないみたいだ。
………かわいい。
「竜門くんのことが、好きです」