アナタの過ち



『いらっしゃいませ、こんばんはー』

夜21時過ぎコンビニのバイト中。

私は声をかけられた。

よくある事だったけどいつも適当にあしらっていた。

今回もそうしようと思った。

「いいじゃん、メールくらい」

『でも、私は仕事中なので』

「じゃあ終わるまで待ってるよ」

『いえ、困りますから』

「待ってるからね」

迷惑そうな私の顔にも気付かず、男はそう言って出て行った。



しばらくして、廃棄処分を行っていると後ろから声がかかる。

「悠奈ちゃん、もうあがっていいよ」

『あ、わかりました!』

時計に目をやると21時54分。
早く退勤しないと22時過ぎちゃう。

慌てて退勤ボタンを押し、制服をロッカーに入れる。

『お疲れ様です。お先に失礼致します」

「お疲れさま~」

コンビニに出ると、先ほどの男は宣言通り外で待っていた。

驚いて目を見開く私。

「お疲れっ」

そんなの御構いなしに、満面の笑みで話しかけてくる。

『…』

無視してその場を立ち去る。

「ちょっと待ってよ!」

だが腕を掴まれ、無理矢理止められた。

『…何ですか?』

「アドレス教えてよ!」

周りには沢山人がいる。
こんな場面見られたくない。

地元だし早く帰りたい。

でも教えないと帰してもらえそうにない。


『わかりました…いいですよ…』

今回はいつも通りにいかなかった。

バイト先に迷惑な事を起こしたくないからいつも断ってるのに。

面倒臭いなぁ、もう…。

男の名前は、川村達也。

それから毎日来る達也からのお誘いメール。

「遊ぼうよ」

「いつ空いてるの?」

「飯食いに行こうよ」

「カラオケとかは~?」

しつこい。

このままじゃバイト先に押し掛けられそう。

それは絶対に避けたい。


とりあえず1回遊べば満足するだろうか。


『じゃあいつにします?』

「明日!!」






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