アナタの過ち
「いらっしゃいませ。2名様でよろしいですか?」
『はい』
「喫煙と禁煙のご希望は…」
「喫煙で」
「お席ご案内致します」
私達は店員の後を付いて行く。
通された席に座ってメニューを広げた。
『…私、ご飯いらない』
「は?」
『実は食べてきちゃったんですよね』
「え?…じゃあ俺だけ頼むよ?」
(だったらなんでファミレスなんか選んだ?)
という疑問が達也の表情から伝わってくる。
『うん、私オレンジジュース飲む』
「了解」
店員を呼び、定食と黒烏龍茶とオレンジジュースを頼んで煙草に火をつけた。
「で、何歳なの?」
突然の、今更すぎる質問。
達也は私の歳も住んでる所も知らない。
知っているのは名前だけ。
メールでは誘いの内容ばかりでそんな話にはならなかった。
『…16』
「え!?俺8個も下の子ナンパしちゃったの!?」
明らかな動揺。
車内の出来事なんてすっかり忘れてるみたいだ。
「お待たせしました」
意外にも早く料理が運ばれてきて、達也は食べ始めた。
「どこに住んでるの?」
口をもぐもぐさせながら聞いてくる。
食べ終わってからでいいのに。
『…あのコンビニの近くです』
「へぇ」
とりあえず聞いただけ。
それがわかるような関心の無い返事。
そんな中身の薄い会話も、さっきまでの事が無かったかのように広がっていく。