アナタの過ち


いつものように、ただいまの挨拶も無しに家に入って。

いつもと同じく、居るのは妹だけで。

いつもと変わらないおかえりの声も、届かない。

そのまま、逃げる様に寝室へ向かった。


だけど布団に入ることも、寝転がることもできない。

ただ力が抜けてその場に崩れ落ちた。

堅苦しい制服に身を包まれたまま。

私の手から、派手な人形達と共に携帯が落ちた。

どれもこれも貰い物ばかり。

誰に貰ったかなんてわからない。

可愛い顔したキャラクターの人形は、負担にしかならなかった。

名前と顔が一致しない人間は、負担にしかならなかった。


必要じゃなかった。




結局。

私が相手を必要としていないなら、相手も私なんか必要とするはずない。

こんな分かりきった単純な結論も今は大きなダメージだった。

一旦寝室を出て、私は鞄の中身をぶちまける。

上から真っ逆さまに落ちるガラクタは見てて汚い。

勉強道具はなにも無い。

鏡にポーチに充電器、ストレートアイロン、財布、煙草。

ごみも沢山。

まるで私の中身。





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