アナタの過ち


幼稚園の頃に書いた手紙。
誰にも渡さない手紙。
誰にも見せない手紙。

私は今でも机の引き出しの奥底へ隠してある。

『おかあさんがおこるから、わたしはいいたいことがいえません』

どうして、こんな事になったんだろう。

私はただ、大人しくいい子にしていただけなはず。

わかるのは、やっぱりなにもかも遅過ぎた。
今更だということだけ。


1998年。
妹が保育園へ通う年になっていた。
私の涙が流れる事も無くなった。

それだけの年月が、気づいたら過ぎていた。


長い長い幼少期。

私は色々考え過ぎた。
見過ぎた。 聞き過ぎた。

それさえも過ち。


幼い私の、小さな過ち。



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