アナタの過ち


「これ、どうしたの」

目の前に差し出された物は小さな香水。

わかってる上でわざわざ聞いてくるあたり、尊敬する。

そんな事を思いながら正直に答える。

『盗ってきた』

「どこで?」

『この前、ご飯食べに行った帰りに寄ったスーパーみたいなところ』

所謂ホームセンターみたいな場所。

「…なんでそんな事したの!!」

さっきよりもきつい言葉に私は考える。

なんで?なんでだろう。

『欲しかったから…?』

「あんたにはこんな物必要ないでしょう!」

すぐさま返ってくるごもっともな意見。

「もう絶対こんな事しないで!!」


『ごめんなさい…』

わかった。とは言えなかった。
その事に、母も私も気付いていなかった。


そして、罪悪感も無かった。

なんでバレたのか?
机の奥底に入れたはずなのに。

私に残ったのは、そんなどうでもいい疑問だけだった。



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