アナタの過ち
援助交際?
「ここでいい?」
『え?あぁ、うん。大丈夫です』
足を止めた私の目の前には、少しお洒落にした小さな定食屋さん。
駅の地下道を通った事は覚えてるけど、どこをどう歩いてきたのかわからなかった。
でも時間からしてそう遠いところではない。
「いらっしゃいませ、お2人様でよろしいですか?」
「あぁ、2人」
「禁煙と喫煙、どちらにいたしましょう」
「喫煙で」
「かしこまりました。ご案内致します」
後を追い、案内された席に座る。
「すぐにお茶をお持ち致します」
そう言って立ち去る店員の背中を、私は無意識に見つめていた。
「何食べたい?」
声をかけられ、我にかえる。
『なんでもいいです』
「オススメの定食があるんだ、それでいい?」
『うん、それで』
「すみませーん」
その声に反応し、店員がお茶を2つ持ってやってきた。
「お決まりですか?」
私はおじさんと店員の会話を横目に、窓から見える景色を眺めた。
別に綺麗でもなんでもないけど。
疲れ切った顔で歩くサラリーマン。
楽しそうに歩くカップル。
今から仕事なのか、派手な装いの女。
この時間は様々な人間が行き交う。
その中から、この人は私に目を付けた。