アナタの過ち


「あ、そう?僕ね、女の子がご飯食べてるところを見るのが好きなんだ」

『…そうですか』

理解できない。したくもないけど。

嫌な視線を感じながら、私は食べる事に集中した。
せっかく美味しいのに、段々と味もわからなくなってくる。


私が3分の2ぐらい食べたところで、木村さんはやっと箸に手を付けた。


それでも私から目を離さない。
イライラする。


『ご馳走様でした』

「おいしかったね」

慌てて食べたのか?
木村さんも私とほぼ同時に箸を置いた。


『はい、私もう帰ります。ありがとうございました』

「え?もう帰るの?」

『時間も遅いので』

「そっか、高校生だと門限とかあるの?」

『まぁ…。とにかく帰ります』

「また会おうね」

その言葉を無視して、私はバックを持ち出口へ向かう。

「ありがとうございまーす」


店員の声を背中に受けながら、私は足早に駅へと向かった。





< 46 / 147 >

この作品をシェア

pagetop