アナタの過ち
「あ、そう?僕ね、女の子がご飯食べてるところを見るのが好きなんだ」
『…そうですか』
理解できない。したくもないけど。
嫌な視線を感じながら、私は食べる事に集中した。
せっかく美味しいのに、段々と味もわからなくなってくる。
私が3分の2ぐらい食べたところで、木村さんはやっと箸に手を付けた。
それでも私から目を離さない。
イライラする。
『ご馳走様でした』
「おいしかったね」
慌てて食べたのか?
木村さんも私とほぼ同時に箸を置いた。
『はい、私もう帰ります。ありがとうございました』
「え?もう帰るの?」
『時間も遅いので』
「そっか、高校生だと門限とかあるの?」
『まぁ…。とにかく帰ります』
「また会おうね」
その言葉を無視して、私はバックを持ち出口へ向かう。
「ありがとうございまーす」
店員の声を背中に受けながら、私は足早に駅へと向かった。