アナタの過ち



私の気持ちとは正反対の明るい着信音が聞こえる。

『はい、もしもーし』

「もしもし?今どこにいる?」

『もう駅着いたよ』

「まじ?ちょっと待ってて」

『はーい』

電話を切ってバックにしまう。

『はぁ…』

会ってなにするんだろ。
憂鬱。
でも受け入れたのは私だし。

そんな私の耳に、遠慮なく届くうるさい音楽。

『はいはーい!』

真顔なのに明るい声。
客観的に想像すると笑ってしまう。



「あ、駅のどこらへんにいる?」

『改札口の前ですね』

「わかんねぇ。何色の服着てる?」

『黒い服です』

「えぇ…あ!あれじゃねぇ?」

『わかった?』

「あ。わかったわかった」

勢いよく電話が切られる。

もう何回目かわからないため息をついて携帯をいじっていると、突然肩を叩かれた。



「よっ!!」

『ぅわっ』

後ろからの衝撃に驚く私。

「びっくりしすぎだろー!」

亮は笑いながら言った。

『びっくりするよ…』

眉間にシワを寄せ、あからさまに嫌な顔で答える私。


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