アイボリー~少しだけあなたにふれてもいいですか?
4章 抜擢
ヒンヤリとした面タオルをキュッと頭に巻いた。
面を顔にかぶせる。
美鈴はこの瞬間が一番好きだ。
自分でいて、自分じゃなくなるような感覚。
小さい頃、ドラえもんのお面をつけて、ドラえもんになりきってた自分と重なる。
面をつけた時の自分ではない感覚が気持ちを大きくしてくれた。
「お願いしまぁす!」
気合いを入れて、準備体操をしている輪の中に入る。
警察署の体育館で月に3回開催されている剣道にいつも参加している。
女性はほとんどいない。
背の高い、警察官の田村奏汰が指導者だ。
28歳という若さのわりに剣道5段の腕前。
力強く振り下ろされた竹刀に当たれば、一瞬気が遠くなる。
到底美鈴にはかなわない相手だった。
「おう、今日も威勢がいいな。美鈴。」
「あったり前です!元気一筋でここまでやってきたんですから!」
奏汰は大きな声で笑う。
面から見える目は、その大きな立ち姿とは違ってとても優しくつぶらだった。
美鈴はそんな明るく豪快な奏汰が大好きで、兄のように慕っている。
奏汰もまた妹のように可愛がっていた。
面を顔にかぶせる。
美鈴はこの瞬間が一番好きだ。
自分でいて、自分じゃなくなるような感覚。
小さい頃、ドラえもんのお面をつけて、ドラえもんになりきってた自分と重なる。
面をつけた時の自分ではない感覚が気持ちを大きくしてくれた。
「お願いしまぁす!」
気合いを入れて、準備体操をしている輪の中に入る。
警察署の体育館で月に3回開催されている剣道にいつも参加している。
女性はほとんどいない。
背の高い、警察官の田村奏汰が指導者だ。
28歳という若さのわりに剣道5段の腕前。
力強く振り下ろされた竹刀に当たれば、一瞬気が遠くなる。
到底美鈴にはかなわない相手だった。
「おう、今日も威勢がいいな。美鈴。」
「あったり前です!元気一筋でここまでやってきたんですから!」
奏汰は大きな声で笑う。
面から見える目は、その大きな立ち姿とは違ってとても優しくつぶらだった。
美鈴はそんな明るく豪快な奏汰が大好きで、兄のように慕っている。
奏汰もまた妹のように可愛がっていた。