アイボリー~少しだけあなたにふれてもいいですか?
横目でチラッと入ってきた人を見る。

どこかで会ったことのあるような気がする男性。

えっと、確か最近会ったような。

本屋に来たお客さんだったっけ・・・?

必要以上に口の中でカツをかみながら考える。

ア・・・。

拓海がアイボリーのシャツを買った店長さん。

名前は、・・・宮浦さんだ。

思わずからだが硬直する。

・・・私に気付きませんように。

なんとなく、気まずくて、美鈴は視線を前を向けてカレーに集中することにした。

それなのに。

その人は美鈴の肩を叩いた。

「君、こないだ拓海と一緒にお店に来た子だよね?」

美鈴の気持ちも知らずに、宮浦さんは爽やかな笑顔を向けてそのまま美鈴の隣に座った。

「あ、先日はどうも。美鈴です。」

「そうそう、美鈴ちゃん。こないだはありがとうね。」

何がありがとうなんだかわかんないけど。

会釈しながら必死に作り笑顔を向ける。

「おいしそうなの頼んでるね。じゃ、僕もカツカレー一つ。」

どんな会話すればいいのか全く思いつかない。

年も離れてるし、拓海のことすごく知ってるみたいだし、自分が拓海のこと好きだってこともばれてる相手に。

「美鈴ちゃんって結構食べるんだね。そんな印象あったけど。」

失礼な!

と思いつつ、笑って頷いた。

「拓海とは、結局どうなの?付き合ってるのかな?」

そして、唐突な質問を投げかけてきた。

思わずカツが喉につまって咳き込んだ。

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