自殺少女と花見の少年
自殺少女との出会い
「あの」



小さな声。だけど、鈴のように綺麗なその音はちゃんと僕の耳に届いた。



「はい?」



と言いながら振り向くと彼女はしっかりと僕の目を見てこう言った。



「今日、ここで私を見たこと誰にも言わないで」



なにか言われたらまずい事でもあるのかと、彼女をもう一度きちんと見てみる。




そして、僕の目は彼女の手元で止まった。



彼女が持っていたものはロープだった。



自殺します



と言わんばかりに結ばれたそれは、もうあと木にくくり付けて首を入れれば完成。


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