自殺少女と花見の少年

ここを出たら

「ところでここを出たら行く宛あるの?」



「あるわけないじゃん。またここ戻ってくるかも」



彼女は冗談交じりに言ったつもりだろうが、僕は本気で言っているのだろうなと受け取った。


だけど、あえて、冗談で返すことにした。



「そしたら、それこそ今度は死ぬかもしれないね」



「そしたら助けに来てよ」



「脱獄させろってこと?嫌だよ、僕は犯罪者にはなりたくない」



「えぇ。あたしが自首する時

『一緒にやったって言おうか』

って言ってくれたの誰だっけ」



「あれ?そんなことあったかな?」



僕がわざとらしくそう言うと彼女は静かに中指を立てた。

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