自殺少女と花見の少年

すこしだけ

「ねぇ、あと少し聞いて欲しいことがあるの」


といった。



「なに?」

僕はドアノブに掛けた手を下ろして彼女の方を見る。



「あたしさ、あの時楽しんでたと思う」



「あの時?」



「カッター振り回してた時。目の前で人が倒れていって、そこらじゅうが赤で染まってって、叫び声が響いて」



僕はなんとなく桜子が次になんていうか予想がついた。
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