見えない何かと戦う者たちへ
「そのも週番なのか…」
明日香はふーんと
牛乳を飲みながら考えていた。
懍はたぶんお手洗いにでも
行ったということにしておこう。
美結は職員室に行ったし、
明日香はただ暇だったのだ。
決して他の理由があって
垣内に話かけに行ったわけではない。
「垣内~」
「ん?あぁ?」
まだジュースのパックを吸い続けている垣内が
明日香を視界にとらえた。
「前から思ってたんだけど…
垣内は知ってるのよね?」
「…そののことか?」
紙パックのストローから口を離して
窓側の席だったので
垣内は窓の外をながめだした。
どこか遠い目をしている。
「…全部を知ってるわけじゃねぇし、
俺は今後も本人から聞くつもりはない。」
「…そっか」
「えっと、そのの幼馴染だっけ?
今さらだけどよろしくなっ!て…えっと」
「明日香でいい」
彼はなんて呼べばいいのか言葉をつまらせたが
彼女がすぐに気づいて名前を言ってくれたのでちょっと嬉しかった。
ニカッと笑って
"明日香"と呼んだ。
彼女も彼の笑顔につられるように
普段中々上げない口角を少し上げた。
「…あっ」
「?」
明日香がいきなり声をあげたので、
思わず垣内は声にならない声をあげた。
「どうした?」
「今、そのを手伝いに美結がいったんだけど…
大丈夫かしら」
「みゆうって、あの白い子?」
垣内の表現もどうかと思ったが
明日香はとりあえず頷いた。
垣内はお好み焼味の紙パックジュースを
ズズズズー‼といっきに飲みほした。
改めてみるとやっぱり
ジュースはかなり不味そうだ。
よく飲めるな…と
思ったが明日香は口に出さなかった。
「美結、結構おせっかいだからなぁ…」
「うーん、ちょっと心配だし
見に行ってみるか!」
明日香は黙って垣内の後ろをついていった。
「…で、そのたちはどこいんの?」
「……ハァ。…職員室」
「えっ逆方向じゃん!」
明日香は垣内についていったことに
ちょっと後悔した。
次は彼女が前を歩いた。
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そしてその頃
二人が心配しているお二方は…