見えない何かと戦う者たちへ

「…何があったんだ、あの二人」


教室のど真ん中で
懍と中二病が言葉によるバトルを始めた。

もちろんあの二人なので
セリフは全部中二病ぽい。





「よくわからないけど、
たぶん中二病が美結をストーカーしてて
それを退治したのが懍なんじゃないかしら?」


明日香は事実を知っていたわけではないが
その考えは正しかった。

垣内はなるほどね
とまた教室の中心を見た。






明日香はふと思った。

(あっ今、二人っきりね)

食べ終わった弁当を
片付け手を合わせた。




「明日香って
結構真面目だな、そーゆーところ」

また不味そうなジュースを片手に
垣内が笑った。

(こいつも
案外モテるのよね)

と思ったが
言葉にはしなかった。





「格の違いを見せてあげる!
お覚悟はよろしくて!」

「用心したほうがよいぞ…
真の力を解放する!」






まだ中二病と懍は言い合っている。

中二病は
いつもしている縁なしメガネから
瞬時に黒縁メガネに変化させた。

懍も負けじと
いつも隠れ気味の左目を髪をあげることで
見せびらかした。

教室はなぜかこの二人のバトルに
盛り上がっている。








「…懍だっけ?
あいつ、なんかすげぇな」

「同感」



明日香と垣内も
盛り上がっている皆の輪には入らないものの
ぼーっと二人のバトルを観賞していた。











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