見えない何かと戦う者たちへ

「…おい、その?

ごめん、大丈夫か?」



垣内が一歩近づくとさっと
一歩さがった。

ソノはどこをみているのかわからないような瞳で
でも明らかに垣内を見つめて顔を青くさせている。

どこからどうみても
彼は脅えている。




「おい、その!」

「…!?」



垣内はそのままの場所から大声で叫んだ。

ハッと我に返るようにして
ソノの瞳がようやく垣内をとらえた。




「…ごめん

おれ、またっ…」




ソノは屋上から出ていった。

彼なりにかなり反省しているのだろう。

なぜなら、これが初めてではないのだ。


今までも、
どこを見ているかわからない瞳になっては垣内が止めていた。


だが、
最近はめったになかったのでお互い油断していた。






「…その」





垣内は一人、
屋上のフェンスにもたれ座り込んだ。

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