見えない何かと戦う者たちへ
本人が
そういう態度を示すならこっちからは
聞きにくい。
そうじゃなくても
あのソノのことだ。
あまり本人の知らないところで
深く聞きすぎるのは良くない気がするのだ。
考えごとがまとまったときに
ちょうど客が来たので接客した。
美結もいつものやわらかい笑顔で
応対していた。
「…美結、なにかあったら言ってね」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
何が大丈夫なのだろうか?
そのが?美結が?
明日香は今すぐにでも
質問攻めしたい気持ちを胸にとどめた。
せめて
このモワモワした気持ちを誰かに話したい。
「あっ垣内君、お疲れ~
何があったの?大丈夫だった?」
「あーうん、ちょっとしたトラブルだったけど
もう解決したから~」
「ごめんね、私が動けなくて」
「いや、受付中だししょうがないよ」
汗だくの垣内が
相変わらずの爽やかな笑顔で美結と話している。
垣内はなんだかんだと目立つし
美結も外見がかなり目をひくので
受付の周りに視線が集まる。
外は雨がひどくなってきていて
中に入ってくる人も増えたきた。
帰ろうとする人もいるようで
これは早めに文化祭終了な気がしてきた。
「ん?明日香どーした?
顔がブサイクだぞ?」
心配そうに顔をのぞかせてくるので
そこ目掛けて拳を置いてやった明日香だった。