見えない何かと戦う者たちへ
まだこのときは
お互い何も知らなかった。
彼のことを知るのはまだまだ先で、
本人どころか誰も知らない。
だから
彼女は彼の名前とツッコミ担当なのだろう
ということだけしか知らなかった。
ソノに関して言えば
彼女の名前も知らないほどだった。
もちろん、
彼女のことなんてほとんどわかっていない。
だけど、
本当にそうなのだろうか。
二人は高校で初めて出会ったのか。
もしかしたら
その辺の道ですれ違っていたかもしれない。
いや、
もしかして小さいころに一緒の公園で遊んだのかも。
まあ、
本当に会ったことなんてないのだが…(笑)
どっちにしろ、そんなこと
話したこともない二人がわかるはずもなかった。
――見えない何かと戦う者たちへ・プロローグ 完