見えない何かと戦う者たちへ
「どうして来たの?」
美結の問いに
それは言い過ぎじゃないかと教室が
ざわつき始める。
それに気づいた美結は
慌てて言葉を訂正するものの
訂正しきれていない。
垣内も明日香も
美結の反応に戸惑っていて動けずいた。
教室いるやつらも全員
どうすべきかうろたえていた。
「…片付けの指示くらいなら
出せると思ったから…」
「…あっまぁ確かに!そのがいれば
片付けなんてすぐ終わりそうだなっ!
よし!じゃあみんな片付けようぜ」
ソノの言葉に続いた垣内が
なんとかみんなを作業に戻らせた。
ソノも手早く周りに片付けの指示を出し
みんなそれに従った。
ただし
明日香と美結以外に限る。
二人に関しては未だ
動けずにいた。
「…私もやらなきゃっ!」
明日香が声をかけようと美結の肩を叩く前に
振り返っていつも通りの笑顔を見せた。
その笑顔を見ると
何も言えなくなる。
絶句した明日香を見て
困ったように笑う垣内がいた___。
…その後
ソノの的確な指示により
どのクラスよりも早く片付けが終わり
みんな各々帰る支度を始めた。
まだダベっているやつらもいるが
もう教室に人は少なくなっていた。
美結は文化祭実行委員として
まだ仕事があるようなのでバタバタとしている。
垣内は残っているやつらと
話し込んでいて楽しそうだ。
懍はどうやら中二病と一緒に
他のクラスの手伝いに行ったらしい。
明日香は手持ちぶさたになり、
ボーッと外を見ているソノへ近寄った。
「お疲れさま」
「…ん?あぁ、明日香か。おつかれ」
明日香は窓のさんに浅く腰をかけた。
もちろんソノはどこにも触れずに
ただ立っているだけだ。
外はさっきの雨が嘘だったのかというくらい
晴れていた。
強かった風も
爽やかな風になり、なんだか落ち着いた気持ちになれる。