見えない何かと戦う者たちへ

「…で、二人とも追いかけなくていいの?」



明日香はテーブルにひじをつき
両手の上にあごをのせた。


やっと
メニュー表から顔を上げた二人は
意外にも明日香の視線をまっすぐ受け止めた。




「…提案、していいか?」



いつになく真面目な垣内が
片手を高くあげた。

どうぞと明日香は手を出した。




すると"お待たせいたしましたぁ"と
店員がやってきた。

どうやら
垣内の上げた手が店員を呼んでいるように見えたらしい。

明日香は
申し訳なさそうな顔を作って
謝罪をしようとした。




「オムライス一つ下さい。」

「俺はこれとこれとこれとこれとこれとこれをそれぞれセットであっあとこれも」



当たりまえのように
二人は注文し始めた。

店員は明日香を見た。

二人も見ている。




「あ、えーとじゃあ、ドリアで」

咄嗟に出た言葉が
変な食べ物じゃなくてよかったと明日香は安堵した。




「よし、注文もしたし始めるか。」

「あっ提案って注文のことだったのね。
で、始めるってなにを…」



垣内はゴソゴソとかばんの中から
なにかを探した。

出てきたのは
A4サイズの大きな画用紙だった。

大きな字で文字が書かれている。




「えーでは」

垣内は咳払いをした。

美結はなぜか
ワクワクした表情でその様子を眺めている。




「これより
"第1回相田その会"を始めます!」
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